「記録よりも危機感 “9連続K”西武岩尾のシンデレラストーリー」
(Full-Count 5月2日 10時16分配信)
本人も意識していなかった「9連続K」、無名右腕が飛躍への扉開く

「開幕投手は岩尾だ」。キャンプのころ、西武の田辺監督は開幕投手の話題が上がると、そう言って笑っていた。名もなき27歳の右腕は中継ぎで開幕1軍の当落線上。もちろん大役はエース岸に決まっていた(後に故障で牧田が務めた)。指揮官が名前を口に出す自体、期待をひそかにかけている証拠だが、当時はジョークでその名が使われていた。

 岩尾利弘はシンデレラストーリーを駆け上がっていった。3月22日のオープン戦DeNA戦で7連続三振をマークし、開幕1軍切符を確実のものにした。それでも大差がついた場面での起用が主。大勢に影響のない場面でコツコツと登板を積み上げた。

 ドラマは誰にも注目を浴びることなく始まった。4月12日のロッテ戦で2者連続三振、同18日のオリックス戦で3者連続三振。同19日のオリックス戦で再び3者連続三振を奪うと、スポーツ各紙に小さな記事で8者連続三振と載った。プロ野球記録は阪急梶本、東映土橋の9連続三振だが、岩尾は複数試合をまたいでの登板のため、参考記録扱いにしかならない。

 メディア同様、岩尾自身もピンと来てない様子だった。「記録とかよりも1回、打たれたら2軍に落ちてしまうので」。さすがに1度の失敗では2軍に降格する立場ではもはやなかったが、当人はそれほど危機感を募らせていた。

 岩尾が『ガラスの靴』を履く瞬間が訪れたのは、同22日の日本ハム戦だった。
優しすぎる男に備わった覚悟、指揮官も右腕の成長を実感
 7回1死一、二塁。「記録を知らなかった」というレアードを迎えた。生存競争が頭の中を占める岩尾は「三振よりも、とにかく走者を返さないようにと思った」と記録は頭になかった。スライダー、そしてフォークのように縦に鋭く落ちる自称ツーシームで追い込むと、3球勝負のツーシームで空振り三振。参考記録ではあるが、1950年代の記録である「9連続三振」に並んだ。

 ツーシームは2年前に渡辺SDに「フォークを投げてみろ」と言われたのをきっかけに修得した。「指が短いので挟めなかった」と苦闘したが、幅を狭めて縫い目に掛けるように投げたら落ちるようになったという。

 また昨年7月のイースタンリーグ・ヤクルト戦では7回19安打13失点という屈辱を味わった。直後はショックから抜けきれなかったが「これだけ打たれたらチャンスは残り少ない。だったら思い切りやろうと」と開き直った。優しすぎる男に覚悟が備わるようになった。

 快挙から2日後、岩尾はソフトバンク戦で同点の延長10回に投入された。大差のついた場面という役回りから、ついに昇格した。「ちびりました」とドキドキのマウンドは2死満塁で3ボールと絶体絶命のピンチに追い込まれた。ベンチも押し出しを覚悟したが、そこから際どいストライクを2球続け、最後は投ゴロに仕留めた。

 勝負どころで投入した田辺監督は、ピンチの場面もベンチでなぜか笑顔だった。実は思い出し笑いだったという。「(コーチだった)2軍の時から見ているからね。あんなにヒョロヒョロだったのに、こんな場面で投げる投手に成長したんだなと」。シンデレラボーイ岩尾の名前は確実に広まりつつある。

・・・岩尾投手の「深〜い、良い話」でした(=゚ω゚)ノ

ランキングに参加してます!

「ぽちっと」押していただけると嬉しいです!

にほんブログ村 野球ブログ 埼玉西武ライオンズへ
にほんブログ村