「フル出場すれば100%で本塁打王!「おかわりさん」中村剛也の突出度。」
(Number Web 5/16(火) )

 常々あのニックネームがいかんな、と思っているのだ。「おかわり君」って、健康優良児みたいで軽すぎるでしょう。実際の風貌も、ゆるキャラみたいだから、ちっとも大打者っぽくない。

 でも、埼玉西武ライオンズの中村剛也は、実は球史に残るホームラン打者なのだ。ホームランの密度、そして「他の選手が打たないときに打つ」能力で、中村剛也はずば抜けている。もっと賞賛されるべきだ。どん(机をたたく音)! 

 今回は、そのことをいくつかの数字で証明したい。

王、田淵時代とは球場の広さがまったく違う。
 まずは、本塁打率。キャリアの本塁打数を打数で割った単純な数字。

 42人いる300本塁打以上の選手のランキング。現役選手の数字は5/14試合前の時点。※は現役

 (数字は左から本塁打、打数、本塁打率)
1 王 貞治 868 9250 0.0938
2 田淵幸一 474 5881 0.0806
3 A・カブレラ  357 4510 0.0792
4 T・ローズ  464 6274 0.0740
5 中村剛也 339 4591 0.0738 ※
6 松井秀喜 332 4572 0.0726
7 長池徳士 338 4872 0.0694
8 清原和博 525 7814 0.0672
9 落合博満 510 7627 0.0669
10山本浩二 536 8052 0.0666

 世界のホームラン王、王貞治、そのライバルだった田淵幸一が1、2位。外国人選手2人を挟んで中村剛也は歴代5位なのだ。

 現役では1位。巨人の阿部慎之助(380本塁打)は0.0558で22位、同じく村田修一(347本塁打)は0.0528で30位、広島の新井貴浩(311本塁打)は0.0405で42位だ。

 王貞治らが活躍した昭和の時代、NPBの本拠地球場は両翼90m、中堅115mが標準的だった。王や田淵の記録はその時代につくられた。

 1988年に両翼100m、中堅122mの東京ドームが開場してからNPBの本拠地球場は次々と改修、新築されて、今ではこれが標準サイズとなっている。MLBの球場とほぼ同じ大きさだ。

 カブレラ、ローズ、中村剛也の記録は、球場が大型化してからのものなのだ。

 それを加味すれば、中村剛也は日本人最強のホームランバッターと言えるかもしれない。

すべて本塁打王。
 中村剛也は大阪桐蔭高校から2002年西武ライオンズに入団した。

 当時からパワーは折り紙付きだったが、守備、走塁などプロのレベルに達しない部分も多くて、1年目は二軍暮らし。

 以後もレギュラーにはなかなか定着できず、初めて規定打席に達したのは7年目の2008年、25歳の時だった。

 この年も含め、中村は6シーズン規定打席に達しているが、この成績がすごいのだ。()はリーグ順位。

 2008年 46本塁打(1) 101打点(3) 打率.244(27)
2009年 48本塁打(1) 122打点(1) 打率.285(14)
2011年 48本塁打(1) 116打点(1) 打率.269(13)
2012年 27本塁打(1)  79打点(2)  打率.231(29)
2014年 34本塁打(1)  90打点(2)  打率.257(25)
2015年 37本塁打(1) 124打点(1) 打率.278(12)

 何と、規定打席に達した6シーズンすべてで本塁打王。そして打点王3回、打点はすべて3位以内。中村剛也は、試合にフルで出場さえすればタイトルを取る男なのだ。

 あの王貞治でも規定打席に達した21シーズンで本塁打王は15回、本塁打王をとる確率は71.4%、中村剛也は驚異の100%なのだ。

 そのかわり三振王も4回、三振かホームランか、今どき珍しい豪快さも中村剛也ならではだ。

 今季の中村もすでに9本塁打、11本塁打の日本ハム、レアードを追いかける2位タイにつけている。

バットやボール、球場の広さが変わる中で……。
 最後に、中村のすごさを示す決定的なデータを紹介しよう。

 「TBA(True Batting Average)」という指標がある。セイバーメトリクス以前から存在する古い計算式で、レベルや環境が変動する中で作られた記録を補正するために案出されたものだ。

本塁打がでにくい環境では、1本の価値が上がる。
 シーズン本塁打の場合、数式はこうなる。

 (そのシーズンの選手の本塁打数×0.0247)÷そのシーズンのリーグ本塁打率

 本塁打率は本塁打÷打数で割り出せる。0.0247は1936年から2016年までのNPBの通算本塁打率。

 つまり、毎年異なる本塁打が出る環境を補正した数値で、同じ環境の中で他の選手に比べてどれほど突出していたかを示す数字である。これで、歴代のシーズン本塁打のTBAを出してみた。20位まで。

 (数字は年、本塁打数、TBAの順)
1 中村剛也 2011年 48本 74.0
2 大下 弘 1946年 20本 66.9
3 中西 太 1953年 36本 65.8
4 中西 太 1955年 35本 63.5
5 バレンティン 2013年 60本 60.1
6 青田 昇 1948年 25本 59.8
7 川上哲治 1948年 25本 59.8
8 中西 太 1956年 29本 59.5
9 野村克也 1962年 44本 55.9
10中西 太  1954年 31本 52.8
11王 貞治  1964年 55本 52.4
12王 貞治  1966年 48本 52.2
13小鶴 誠  1950年 51本 52.0
14野村克也  1963年 52本 51.6
15山内一弘  1956年 25本 51.3
16王 貞治  1965年 42本 49.9
17野村克也  1957年 30本 49.7
18別当 薫  1950年 43本 49.4
19藤村富美男  1949年 46本 49.4
20豊田泰光  1953年 27本 49.3

かなわなかった2011年。
 2011年は、NPBの加藤コミッショナーが主導してMLBと仕様が近く反発係数が低い「統一球」が導入された。

 前年の本塁打率は、セ=0.0292、パ=0.0253だったが、2011年はセ=0.0174、パ=0.0160と急激に下がった。

 この本塁打率は、1960年代前半以来の低さだった。

 各打者の本塁打が激減する中、中村剛也は48本塁打を記録。2位はソフトバンク松田宣浩の25本。セの本塁打王はヤクルト、バレンティンの31本。

 パの総本塁打数は454本、その1割強を中村が1人で打った。千葉ロッテのチーム本塁打は46本、チームの全打者が寄ってたかって中村にかなわなかった。

 TBAで補正すると、中村の本塁打数は74.0になる。2013年にヤクルトのバレンティンが60本を打った時をはるかに上回る空前の数字だ。

 この年、多くの選手が「球が重い、飛ばない」と言っている中で、中村は涼しい顔でアーチを次々と描いていたのだ。

せめて「おかわりさん」と呼んでくれ。
 中村剛也は8月15日で34歳になる。プロ入り16年目になるが、規定打席に達したのは6シーズンだけ。フルスイングをするためか故障が多いのだ。

 それだけに通算安打はまだ1177本。

 NPBでは、2000本安打に達して一流選手というイメージがある。

 なかには首位打者2回、本塁打王5回、打点王3回の中西太(1262安打)、三冠王の松中信彦(1767安打)のように、2000本未満で引退した大打者もいるが、歴史的評価を得るためにも2000本の大台はめざしたいところ。

 あと823安打は、145安打がシーズン最多の中村剛也にはかなり高いハードルだ。歩かされて勝負されないことも多い。40歳近くまでプレーしないと難しいだろう。しかし、何としてもこのレベルをクリアしてほしい。

 私たちは中村剛也という「レジェンド」の雄姿を目の当たりにしていることを認識すべきだ。この凄さを知ればもう「おかわり君」とは呼べない。せめて「おかわりさん」と呼んでくれ。

ーーーーー

最近、中村選手のホームラン(打撃)に関する記録が
結構、書かれています(*^^*)

まあ・・・
ここまで凄い記録を見せ付けられると!
中村選手の偉大さが、誰にでもわかるように思えます(*^^*)

こんな大選手を!
球団は、もっとPRしなくちゃ勿体ないですヨ!

「かっとばせ! おかわりくん」の!
4コマ漫画なんて、いじり過ぎでしょう(^^;;

こう言うところ・・・
球団側は、下手なところなんですかネ〜(^^;;

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