「西武の正捕手が炭谷銀仁朗である理由、森友哉はこの高い壁を越えられるか?」
(スポーツナビ記事より)
18時に始まるナイターの約7時間前、埼玉西武・炭谷銀仁朗は選手たちの中でとりわけ早く西武プリンスドームに現れる。
正捕手にとって、それほどやるべき仕事は山積みだ。炭谷の場合、自宅で相手や自チームの資料を確認し、球場でランチを食べながら再チェック。ウエ―トトレーニング、アーリーワーク、試合前練習を行い、夜の本番に臨むのがスケジュールだ。
くしくも2006年にともに西武に入団し、現在ブルペン捕手を務める吉見太一は、炭谷のそうした姿を近くで見てきた。
「年々、存在感が大きくなっていますよね。ピッチャーはサインを任せて、信頼しています。だから、投げることに集中できる。スコアラーのところに行って、熱心に研究していますよ。相手の弱点を突きながら、ピッチャーのいい球を使っていると思います。キャッチャーはピッチャーの性格を知っていくことも重要ですけど、そういうことも行っていますよね」
フリーエージェント宣言をせずに1年契約で残留した今季、周囲から注目されたのが炭谷と森友哉の正捕手争いだ。だが、シーズン早々にして決着はついた。それはセ・リーグの本拠地で行われる交流戦で、炭谷がマスクをかぶり、森がライトの守備位置に就いていることが如実に物語っている。
「先を見据え、投手を生かしたリード」
12球団の捕手を見渡しても、炭谷の存在感は際立つものだ。5月31日時点で、開幕から先発マスクをかぶり続けているのは炭谷ただひとりである。
「リードって形に表せないじゃないですか。スピードとか、変化球がどれくらい曲がるとかと違って」
炭谷と同い年、プロ4年目の十亀剣に女房役のリードについて聞くと、そう答えが返ってきた。今季4勝2敗と好調な右腕投手は、炭谷の捕手としてのすごさを間近で感じている。
「プロでは向こうの方が長くやっているので、『そういうことか』と気づかされることが多いですね。例えば僕がスライダーかなと思った場面でインサイドに真っすぐのサインが出たら、あとで意図を聞いたりしています」
2人で1組のバッテリーにあって、投手と捕手の役割分担は明確だ。マウンドからボールを投げ込みながら、チームにおける正捕手の重要性を十亀は強く感じている。
「僕は1週間に1回しか投げないから、言い方は悪いですけど、その場だけです。でも銀(炭谷)は1カード、3試合を考えています。僕が抑えることで、次の日に影響が出るようにリードしていますよね。そういうことを今年、顕著に感じます」
目の前の1試合を勝てばいいのか、同じ相手との3連戦を1セットと見て配球を組み立てていくのか。そうした違いが、炭谷のリードに深みを与えているのだ。
さらに言えば、日替わりキャッチャーと正捕手では、投手との関係性においても決定的な差異が生じてくる。十亀が続ける。
「銀とコンビを組んで4年目です。僕の性格と、どういうピッチャーなのかを分かってもらってきたから、今季こういう結果を残せているのかもしれないですね。信頼関係が変わりつつあると感じています。ピッチャーとキャッチャーは意思疎通できた方がいいですからね。『これを投げたい』とうときにそのサインが出たら、いいボールが行きます。逆に『えっ? それ?』ってなると、いいボールが行かないですから」
極端な話をすれば、投手がいい球を投げた場合、捕手は捕球さえできれば勝つことができる。外角低めにいくら速いボールを投げ込んでも、打たれたらその配球は間違いだ。逆に、ど真ん中に投げようとも、打者が見逃した場合、その球の選択は正しいことになる。リードの正解は結果論でしか語れないのだ。
相手を研究し、弱点を突くことは、プロの捕手なら大前提。それを踏まえた上で、いかに投手とコミュニケーションをとり、気持ち良く投げさせながら持ち味を引き出していくかがキャッチャーにとって大事になる。
「お互いを理解するための雄星との会話」
打つ方では活躍する森だが、正捕手の座をつかむためには炭谷という高い壁を超える必要がある。
炭谷が今季、この点で腐心しているのが高卒6年目の菊池雄星だ。
2013年、前半戦だけで9勝を挙げてブレークしかけた菊池だが、今は長いトンネルから抜け出せずにいる。炭谷によれば、投げている球自体は2年前も今も変わらない一方、心の持ちようが大きく異なっているというのだ。
09年ドラフト1位で入団した左腕は、繊細なメンタルの持ち主だ。13年に飛躍したきっかけのひとつは、試合中、炭谷が細かいことをあえて指摘しないようにしたことにある。そうして菊池は気持ち良く投げ、高いポテンシャルを存分に発揮することで自信を増していった。
思うように勝ち星をつかめない今季、炭谷は同じ態度を貫いている。ただし、それは試合中に限った話だ。6回2失点で勝ち負けがつかずに終わった5月23日の東北楽天戦後、ふたりはこんな話をしたという。
「雄星は正直、『見逃し三振を取りたい、となるのはいけない』と分かっているけど、高校のときの自分が出るらしいです。僕のバッティングも同じ。プロに入ってからは右打ち、つなぎ、軽打の選手と分かっていながら、高校のときみたいに放り込みたいという気持ちが出ちゃう。だから、雄星の気持ちも分かります」
互いの心境を理解できるふたりの話は、それぞれの「ライバル」に及んだ。
「雄星は大谷(翔平)がバンバン三振をとるのを見て、悔しい気持ちになるらしいです。『俺もやりたい』となるみたいで。俺も(森)友哉が放り込んだら、頭では分かっていても、そういう気持ちが出る。だから、あいつの気持ちも分かります。でも僕も雄星も、そういう気持ちを捨てないといけない」
投手と捕手はグラウンドの外で対話し、互いの性格や考え方を知った上で、どうすればマウンドで良さを最大限に発揮できるかと考えていく。それが、投手と正捕手の良好な関係だ。
もちろん、知るべきは内面の特徴だけではない。例えば同じ内角高めでも、投手によって要求の仕方を使い分ける必要がある。炭谷はインハイについて、「有効でもあるし、危険でもある」と考えているからだ。そこにきちんと投げ込めれば打者にとって打ちにくい球である一方、力んで引っ掛けた場合、打ちごろの甘い球になる。
「インハイとこだわらず、インコースと考えてピッチャーで使い分けています。(岡本)篤志さんはインハイでストライクをとれるけど、岸(孝之)さんや十亀は得意じゃないから、インコースと考えて使っていきます」
「送球、ブロッキングも高レベル」
コミュニケーション力で投手の持ち味を引き出すだけでなく、炭谷自身は捕手として高い能力を備えている。そのひとつが送球面だ。強肩とスローイングの正確性、速い送球タイムを兼ね備え、昨季の盗塁阻止率4割4分4厘は12球団トップだった。
また、ブロックで失点を防ぐシーンも目立っている。5月22日の楽天戦では8回1死一、三塁からレフトフライで三塁走者・銀次がタッチアップすると、炭谷がホームベースをうまく体で隠してレフト・栗山巧の捕殺をサポートした。捕手としては基本的なプレーと言えるが、1点を追いかけるチームにとって極めて大きな貢献だった。
「基礎として、若いときに相馬(勝也・故人)さん、光山(英和)さんに教えてもらったことが生きています。ホームでは、ああいうプレー次第で1点ですからね。1点入ってなおピンチより、チェンジになった方が流れも来ます」
このとき、体ごと猛進してきた銀次は左すねを強打して登録抹消となったものの、炭谷は元気にマスクをかぶり続けている。こうした体の強さも捕手に不可欠なものだ。
かくして炭谷は、12球団で数少ない「正捕手」と言えるのである。
今季、高卒2年目の森が置かれる立場は、あくまで「打者」だ。仮に捕手として出場した場合、打撃に支障が出ることも考えられる。田邊徳雄監督はそうした事情をすべて考慮し、DHで使っていくという決断を下しているのだ。
すでにベテランの風格を漂わせている炭谷だが、まだ27歳。来季以降も残留し、田邊監督が指揮を執る間は、西武の正捕手として守り続けていくだろう。
そうしたチームにあって、森は今後、どうやって野球選手としてのキャリアを築いていくのか。あくまで捕手にこだわるなら、炭谷はとてつもなく高い壁だ。
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ただただ、感服する記事です!!!
銀仁朗選手が、チャンスで打てなくても・・・
銀仁朗選手が、打率2割を切っていても・・・
そんなこと、そんなこと!
この記事を読んだら!
些細なコトのように思えてしまいますネ(^O^)/
(でも、打って欲しいですけど(笑))
今のライオンズの正捕手の「壁」は!
ほんと、とてつもなく「高い」壁ですヨ(^O^)/
このコトを考えたら・・・
一昨日の試合のスタメンは、一体なんだったんだろう???
(スタメン、岡田選手)
岡田選手には、申し訳ないですけど!
「う〜ん」です!!!
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この記事が載ったのは6月1日でしたが、記事を読んだのは6月の終わり頃でした。
スポーツナビの記事は、ほぼ毎日見てるのに
銀仁朗ファンとして、気付かなかった自分が恥ずかしいです。
いやいや、ありがたい記事ですヨ(^O^)/
岡田捕手の件
銀ちゃんにちょっと疲れが見えたんじゃないですか?
牧田なら自分で組み立てられるから。
そうであって欲しいですヨ。